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芸術の新傾向 芸術の諸分野でもあたらしい傾向がおこっていた。鎌倉時代の初め、まず新風をまきおこしたのは彫刻の文化であった。 源平の争乱によって焼失した奈良の諸寺の復興には、鎌倉の源頼朝が大いに力を入れたが、そのさい、奈良仏師運慶・湛慶父子や快慶らが、多くのすぐれた仏像や肖像の彫刻を作り出した。天平彫刻の伝統をうけついで、あたらしい時代の精神をいかした力強い写実性や、豊かな人間味の表出が、彼らの作風の特色である。 建築では、平安時代以来の日本的なやわらかな美しさを持つ和様が広く用いられていたが、鎌倉時代にはあらたに大陸から大仏様と禅宗様が伝えられた。 大仏様は鎌倉時代初めの東大寺再建にあたって、重源が宋人陳和卿の強力を得て用いた様式で、大陸的な雄大さ、豪放な力強さを特色とし、東大寺南大門が代表的遺構である。 禅宗様はこまかな部材を組み合わせて、整然とした美しさをあらわすのが特色で、鎌倉時代中期から円覚寺舎利殿などの禅寺の建築に用いられた。また、大陸から伝えられた新様式の建築法の一部を和様に取り入れた折衷様もさかんとなった。 絵画では平安時代後期にはじまった絵巻物が全盛期をむかえた。絵巻物ははじめものがたりの挿絵から発達し、この時代には寺社の縁起、高僧の伝記などの形で、民衆を前にした説教にも利用されるようになった。 また個人の肖像を描く写実的な似絵には、鎌倉時代初めに藤原隆信・信実父子の名手がでた。それは肖像彫刻の発達とならんで、この時代に個性に対する関心が高まってきたことをよく示している。 禅僧の僧侶が師僧の肖像画を崇拝する風習も鎌倉時代の中ごろからはじまり、頂相彫刻とともに室町時代に全盛期をむかえた。 書道では、この時代に宋・元の書風が伝えられ、平安時代以来の和様をもとにして、青蓮院流が創始された。工芸の面では、武士の成長とともに武具の製作が大いにさかんになり、甲冑の明珍、刀剣の長船長光・粟田口吉光・岡崎正宗らがあらわれ、名作をのこした。また、宋・元の強い影響をうけながら、尾張の瀬戸焼をはじめ、各地の陶器の生産が発展をとげた。 |
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